人工妊娠中絶について

残念ながら望まない妊娠があるかと思います。できれば、かわいい赤ちゃんを産んで頂きたいのですが、止むを得ない場合もあると思います。このようなテーマについてはあまり書きたくないのですが、現実に中絶を希望される方はおり、間違った知識を持たれないために、説明いたします。
まず、妊娠を中絶するには法的に定められた時期があります。妊娠21週 6日までが可能で、22週以降はいかなる理由があっても中絶はできません。どうするか迷っている内に22週になってしまったということがないようにして頂きたいと思います。また、14週以降になると通常の分娩と同じように経腟的に”お産”をする形になり、陣痛をおこさなければなりませんので大変です。できれば10週前の方が望ましいと思います。
子宮の胎嚢の中に卵黄嚢という小さい袋が超音波画像で確認できてから手術が可能になります。これは大体妊娠5週の中以降です。子宮の中に胎嚢のように見える袋だけが見られても実際は子宮外妊娠ということもあるからです。
妊娠を中絶する方法はいくつかあります。妊娠初期の場合は静脈麻酔をかけて、その間に手術をする方法です。手術そのものの時間は5分くらいで終わります。しかし、麻酔が覚めるまで2時間くらいは休んでいただきます。入院の必要はありません。この時の手術の方法として、その病院により異なりますが、子宮内容を掻爬(そうは)する、掻(か)き出す従来の方法と、吸引によって行う吸引法による手術の方法があります。後者の吸引法の方が術後の出血や遺残がなく安全な方法です。
妊娠8週以降は、子宮の口を手術の前に開くための処置をします。ラミセルという棒状のスポンジのようなものを子宮口に挿入し、2時間前後、挿入したままにします。子宮口が軟らかくなり、開いた後に手術を行います。当院では妊娠13週まで手術を行っています。
手術後に今後妊娠出きない体になるかと心配される方がいますが、1回ではほとんど問題はありません。しかし、4回、5回と回数が多くなればわかりません。これは子宮の内膜が薄くなり着床しなくなる、炎症により卵管が閉塞するなどにより妊娠が困難になることがあるからです。
基本的なことはきちんと避妊をするということです。低用量ピルは、避妊の確実な方法です。特に月経周期が不順な方は排卵日が一定しておらず、排卵日と思わない日に排卵していることがあり、思いがけない妊娠をされる方がいます。このような方は低用量ピルの使用が望ましいと思います。

当院の中絶手術について

  • スーパーサクション
    一般的に子宮の内容を取り出す時は、子宮の中を見ながら行うことはできませんので、手さぐりの状態で行います。当院ではスーパーサクションという吸引する器械を用いて行います。一般的に手さぐりで行なわれる手術でもこの吸引の器械を用いることにより、安全に、しかも完全に内容物を取り出すことができます。北海道ではあまり使用されていませんが、東京方面では一般的に使用されている器械です。
    これを使うことにより、手術時間を短くし、出血量も少なくすることができます。
  • 低周波通電
    このスーパーサクションに低周波通電することにより、術後の鎮痛、消炎、止血に作用し、術後の経過を良好にすることができます。この方法は当院独自のものです。

手術前の注意

  • 当院では手術は予約制ですので、必ず来院して頂き、診察を受けてから手術日を決めます。遠方の方は電話での予約も可能ですが、地元での病院の診察により、妊娠週数の診断を受けてからの方が望ましいと思います。週数により、当院では行えないこともあります。
  • ご主人、または相手の方の同意書がなければ、当院では手術はいたしませんので必ず同意書をご持参下さい。下記に同意書を掲載しましたので、プリントした後、署名してご持参下さい。
  • 手術の前日の午後9時以降は食事、水分は摂取しないで来院してください。もちろん手術当日も何も飲まないで、何も食事を取らないで来院してください。
    喘息のある方はお申し出下さい。喘息のある方は通常の静脈麻酔を行えませんので(手術中に喘息発作がでることがあるため)、麻酔の方法を変えます。

手術後の注意

  • 手術直後は、子宮の収縮により下腹痛があることがあります。これはむしろ子宮が元の状態に戻り、出血も少なくなる事につながりますので、悪いことではありません(痛みが強ければ鎮痛剤の注射を行います)。
  • 手術後は出血がありますが、週数により出血の量も異なります。手術の翌々日に診察に来院してください。
  • 手術後2日間(来院日まで)は、寝ている必要はありませんができるだけ安静にしてください。
  • シャワーは診察をうけてからにしてください。診察を行い、シャワーが可能であるか判断します。
  • 入浴(湯ぶねに入る)は診察を受けた後に、出血が完全になくなってからにしてください(7-10日間後)。その人のホルモン状態により、止血までの期間が異なります。
  • 性生活は出血がなくなってから開始してもかまいませんが、手術後2週間後くらいからにしてください。
  • 手術後、生理が来る前にふたたび妊娠する方もいます。最初の性交から避妊してください。
  • 次回の生理は手術時の週数や個人差がありますが、通常手術後30-40日くらいで始まります。
  • 手術のあと、出血が多い、お腹が痛い、熱がでる、体がだるいなどの症状がある場合は受診してください。

同意書