子宮内膜症

1.生理痛の原因は子宮内膜症?

子宮内膜症は最近増加している病気であり、めずらしいものではありません。子宮内膜症は生理の時にはがれてくる子宮内膜の細胞が体の他の部分に広がり、それぞれの部位で生理の時に出血する病気です。その発生原因の詳細は不明で、いくつかの説があります。内膜症の部位では出血点が見られ、卵巣にできれば血液が卵巣内に貯まって卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)をつくることがあります。体のあらゆる所に発生しますが、特にできやすい部位は子宮筋層内、子宮の裏側の腹膜、卵巣です。生理痛の原因が全て内膜症とは限りませんが、この子宮内膜症があると約50%の人に生理痛を認めます。

2.子宮内膜症と不妊症の関係は?

この内膜症があると、50-80%の人が不妊症になると報告があります。その理由として、一つには内膜症は癒着(ゆちゃく)をおこす病気であり、卵管の周囲に強度の癒着ができれば卵管の動きが制限され、排卵された卵子を吸い上げることができません。また、癒着が強くなくても内膜症の存在により、腹腔内の種々のサイトカインという物質により精子や卵子が攻撃され受精ができなくなります。しかし、最近は卵管を巻き込んでいない内膜症は不妊症の原因とはなりにくいとの意見もでてきています。内膜症の症状としては生理痛の他に、性交時の痛み、排便痛などが認められることがあります。

3.子宮内膜症の診断は?

内膜症の診断はどうするのでしょう。まず、第一に内診により、卵巣の腫大や子宮の裏側の腫瘤の有無をみます。この時、内膜症があれば内診指の圧迫により突き上げられるような痛みが走ることがあります。超音波画像診断では、卵巣に貯留した血液像などが観察されることがあります。しかし、腹膜や卵巣の表面に内膜症が存在する場合は超音波ではわかりません。血液検査も有用のことがあります。内膜症の時には血液の中にある物質が増えてくることがあり、これの増加の有無をみます。しかし、これも内膜症があっても正常の値を示すこともあり、これだけでは診断できません。
これらの検査で総合的に診断するわけですが、しかし、それでも内膜症があるにもかかわらず諸検査で異常が認められない時があり、最終的には腹腔鏡といい、おなかの中を内視鏡でのぞく検査で診断することになります。
ここで問題になるのは内膜症があるにもかかわらず、内膜症患者の30-40%の人は症状がないということです。経験した症例の中には開腹すると腸も子宮も卵巣も内膜症による癒着のため一塊となっているにもかかわらず、全く症状を認めない症例もありました。生理痛がないから内膜症ではないとはいえないのです。

4.不妊症の増加

最近、不妊症の患者が増加しているとされていますが、その一つの原因に晩婚化があげられています。つまり、結婚が遅くなり結婚年齢が上昇するに従い、内膜症の発症率が増加し、いざ妊娠を希望する時には内膜症のため妊娠が難しくなるからです。

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卵巣に発生した子宮内膜症は血液が卵巣に貯留するのでその色からチョコレート嚢腫ともよばれる。写真はチョコレート嚢腫の超音波像。