子宮癌検診について

1.子宮がん検診とは?

外来で患者さんから子宮がん検診と子宮頚癌検診は違うのですかと、時々聞かれます。厳密に言うと子宮癌は子宮頚癌と体癌がありますので、子宮がん検診と言えば頚癌検診と体癌検診の二つを含みます。ただ、頚部にできる異常と体部にできる異常の発生率を比較すると圧倒的に頚部異常が多いので、子宮がん検診と言えば、子宮頚癌検診をさすことが多いのです。

2.子宮頚癌になりやすい年代とは?

以前は40代に多かったのですが、最近は20代、30代にその前癌状態が多く発見されており、頚癌の発生が若年化してきています。この理由として、初めて性交する年齢の若年化が指摘されています。高校女子の性交経験は1974年では5%程度でしたが、2005年には約30%に増加しています。

3.子宮頚癌の若年化と初交の関係は?

では、どうして初校年齢が低下すると頚癌が若年化するのでしょう。それは子宮頚癌の原因はHPVというヒトパピローマウイルスが性交により感染し、それが持続することです。HPVに感染しても9割の方は自然に消失し、持続感染した方だけが子宮頚癌に進行します。私は感染していないと思っている方も多いと思いますが、女性の約80%の方は一度は感染したことがあると報告されており、自分も感染した可能性があると考えた方がいいと思います。胃癌など他の癌に見られない子宮頚癌の発生の特徴は、遺伝因子(癌になりやすい体質の遺伝)が全くなく、環境因子が原因の100%を占めるということです。つまり、HPVの感染が唯一の子宮頚癌の原因なのです。頚癌の若年化の理由は、初交が低年齢化することでHPVに感染する時期が早くなるからです。

4.子宮頚癌検診の方法とは?

まずは子宮癌検診を受け、前癌状態または初期に早期発見することが進行した癌の予防の一つです。子宮頚癌の癌検診は細胞診という、子宮頚部から細胞を擦過 して染色し顕微鏡で異常細胞を見つける方法です。多くの方は細胞診で異常がなければ大丈夫と考えると思いますが、他の臓器の癌検診と同様、この細胞診による診断率は意外と高くはないのです。診断率は各国で異なりますが、53%と非常に低い国にもあり、異常細胞を探すことができないケースも多々あるのが現状 です。日本では80%程度の診断率で世界の最高水準ですが、それでも100%ではなく、癌をチェックできない例があります。これは近年、頚癌の中で腺癌と言われる組織の癌が増加し、それは細胞の採取や診断が難しいことも理由の一つです。

5.細胞診の受診率

細胞診による診断率は100%ではないというものの、やはり細胞診は早期発見には欠かせません。世界各国の細胞診の受診率をグラフにしたものを示します (図)。このグラフで極端に低い受診率を示しているのは日本です。他の国は70%前後の受診率ですが、日本だけ際立って低い受診になっています。他の先進 諸国に比較し日本の女性は子宮頚癌検診を受ける方が非常に少ないということです。ここが日本の子宮頚癌の早期発見の大きな問題です。死亡率は諸外国では減少している中、日本は増加している原因もここにあります。
旭川市では子宮頚癌検診の無料クーポンを20、25、30、35、40才の方に配布していますが、それでもその利用率は30%を切ります。無料であっても日本の受診率と同様、低い割合なのは残念なことです。厚労省はまずは50%の受診率を目指していますが、是非検診を受けて頂きたいと思います。

6.HPV検査

最近、細胞診と子宮頚癌の原因ウイルスであるHPVを調べる検査を併用することにより、100%の診断率を得ることができるとの報告が発表されています。これに基づき、以前よりアメリカの学会のガイドラインでは30才以上の頚癌検診には細胞診とHPV検診の併用が勧められています。最近、日本産婦人科医会 でも、20-29歳は細胞診のみによる1年間隔の検診、30-65歳は細胞診とHPV検査併用による3年間隔の検診、または細胞診が連続3回陰性の女性は 細胞診のみで2年間隔の検診が勧められています。
しかし、このHPV検査の問題点は、費用が高いということです。地域により、この併用検査を自治体で負担している所もありますが、予算の関係上一般的では ありません。しかし、長期的にみれば、検診間隔を長くでき、結局は費用削減できると試算されています。旭川市でも検討して頂ければいいのですが。現在保険 が効きませんので自費となります。方法は簡単で細胞診と同様に頚部から綿棒で細胞を採取するだけです。