性感染症

最近増加傾向にあるクラミジアや、従来の性病である梅毒、淋病などを含む性行為により感染する病気は性感染症と呼ばれます。初交年齢の若年化、性行動の活発化により、これら性感染症は増加しています。今回は代表的な性感染症について書いてみたいと思います。

1.クラミジア感染症

現在、世界でもっとも症例が多い性感染症であるといわれているクラミジアですが、臨床症状があまりはっきりせず、命にかかわる病気でないため、治療される 症例より、感染する症例が多いためと考えられています。性行為により子宮の口である頚管から侵入し、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎と広がっていきます。不妊症 や子宮外妊娠の原因になったり、流産、早産を引き起こします。頚管炎の時には症状が顕著でないため、骨盤内に広がって痛みが出てから診断がつくことが多い ようです。

2.淋病

古くからある性病で、ペニシリンなどの抗生物質が有効なため減少していましたが、最近再び増加傾向にあるようです。クラミジアと混合感染もあり、男性の場 合、排尿痛、尿道分泌物の増加などの症状がありますが、女性の場合は半数以上は無症状と言われています。最近のクラミジアの流行以前は骨盤腹膜炎の大きな 原因でした。従来使用されてきた抗生物質の効果が弱くなって来ています。

3.梅毒

通常、皮膚、粘膜の接触で感染します。進行状態により1期から4期にまで分類されますが、最近は進行した3、4期は見られなくなりました。しかし、早期梅 毒でも症状のない梅毒が半数以上であり、健康診断や妊婦健診時などに偶然発見されることがまれにあります。1期の症状は丘疹が外陰部に出現し、それが潰瘍 化します。ソ径リンパ節が腫れることもあります。ペニシリンが現在でも有効です。

4.性器ヘルペス

単純ヘルペスウイルスによる性感染症であり、最近増加傾向にあります。性交後、2-7日後に小水泡が外陰に出現し、それが破れて潰瘍を作ります。痛みがか なり強く、発熱、ソ径リンパ節の腫れが出ることもあります。一度これにかかりますと、治っても再発することがたびたびありますが、症状は軽度です。治療は 抗ウィルス剤の内服剤と軟膏で治療します。

5.尖圭コンジローム

これはヒト・パピローマウイルス(HPV)により感染し、性器にイボ状の腫瘤ができるものです。潜伏期間は性交後2-3か月で、ウイルスで発生するもので すから、数多くできることがあります。外陰部だけでなく、腟内、子宮口にもできることがあります。これも一度治療しても再発することがあります。

6.トリコモナス膣炎

トリコモナスという原虫が腟内にたくさんいると、膣炎を起こし、おりものが多くなったり、かゆみが出てきます。腟がただれ、真っ赤になることもあります。トリコモナスは肉眼では見えませんが、白血球より大きく、鞭毛(べんもう)を持ち、動いている虫です。
先に述べたように、かゆみがあることが多く、またあわのようなおりものが多くなります。
この原虫は腟以外にも、子宮の入り口、尿道、膀胱、バルトリン腺などにも入りこみます。
性交により男性にも感染し、また逆に男性から女性へも感染します。症状は女性ばかりで男性にはふつう症状はありません。
治療法は腟内を洗浄して原虫を少なくし、トリコモナスに対する薬を挿入するため、通院が必要ににります。また、膀胱など薬を入れにくい部位にあるトリコモ ナスを治療するため、内服剤を服用すると再発も防げます。ご主人も内服薬を服用し、夫婦同時に治療していただきます。治療中は性交はしないで下さい。
治療終了2週間後にトリコモナスの有無を検査し、治っているかを検査します。

その他HIV感染症など、ほかにもいくつもありますが、紙面の関係で省略いたします。上記の症状があれば早期治療のため、そしてさらに他の人への感染を避けるため、早めに産婦人科を受診していただきたいと思います。