更年期障害

更年期障害とは

更年期という言葉はよくきかれますが、更年期とはどの時期を指すのでしょうか。個人差はあるものの、大体42才から56才くらいまでの期間であり、その間にほとんどの方が閉経になります。ちなみに最後の月経から1年間月経がない場合に、閉経になったと診断されます。
更年期には体や心に様々な変化が生じます。その原因は大きく3つに分けられます。第一は女性ホルモンの減少、第二はその女性のおかれている社会的な要因、 第三は精神的な要因です。更年期障害は女性ホルモンの急激な減少という根本的原因に、社会的、精神的な要因が加味されて現れてきます。したがって、女性ホ ルモンの減少という共通の現象があるにもかかわらず、明るく満ち足りた生活を送っている人は更年期障害も軽くすむかもしれません。
更年期は卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少しつつある時期であり、まず月経異常が最初に現れてきます。月経周期が短くなり、その結果1か月に2度の 月経をみることがあります。排卵もない周期があり、月経持続日数も短縮し、経血量も少なくなります。また、逆に経血量が増加することもあります。
次に現れてくるのは自律神経失調症状、いわゆる更年期症状です。
もっとも代表的な症状として、顔のほてり異常発汗があります。急に顔がかっと熱くなり、汗が滝のように流れると訴える人もいます。これらの症状は閉経後5年以上10年未満の人でも40%にみられますが、閉経後10年以上経過した人では4%に低下すると報告されています。
精神神経症状も更年期障害の一つとして現れることがあります。イライラ、不眠、抑うつ状態などで、具体的には、外出したくない、人と会いたくない、やる気がおきない、疲れやすい、物忘れ、頭痛などを訴えてきます。
さらに時間が経過すると生殖器症状が出現してきます。女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少により、外陰部の皮膚や腟粘膜の萎縮が始まり、この萎縮により外陰部掻痒症や性交痛が出てきます。若い時は腟は酸性であり、菌が発育しにくい状況になっていたのですが、更年期でエストロゲンが減少することにより、腟内はアルカリ性に傾くた め、菌が繁殖しやすくなり、腟粘膜が萎縮し薄くなることも加わり、腟炎を生じやすくなります。このため、腟の乾燥感、性交痛などが発症するわけです。ま た、腟炎をおこすことにより、菌が尿道の方にまわり、それが尿道炎、膀胱炎をおこしてきます。更年期以後、膀胱炎を繰り返す人はまず腟炎を治療しなければ なりません。
閉経後に症状が更年期障害によるものか、ホルモン値を調べてほしいと受診される方がいますが、ホルモン値が異常になったために閉経になるので、閉経の方は全てホルモン値は異常です。よって調べる意義はありません。
参考文献 : 臨床医のための女性ホルモン補充療法マニュアル 編集 : 青野敏博

更年期障害のいろいろな症状

A.急性期の症状

  1. 血管運動神経障害・・・のぼせ、熱感、発汗亢進、寝汗、動悸、肩こりなど
  2. 精神神経障害・・・不眠、不安、記憶力減退、物忘れ、頭痛、イライラ、抑うつなど

B.亜急性の症状

  1. 腟・尿道粘膜の萎縮・・・性交障害、腟炎、膀胱炎、頻尿、尿失禁
  2. 皮膚障害・・・希薄化、乾燥、知覚障害、疼痛、しびれ、外陰部掻痒
  3. コレステロールの増加・・・コレステロールの増加、悪玉コレステロールの増加、善玉コレステロールの低下

C.慢性障害

  1. 骨粗鬆症・・・骨折
  2. 心血管系の危険性の増大・・・動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞