細胞診について

検査の実際:

子宮癌検診は一般的には子宮の入り口である子宮頚部の癌の検診をさすことが多く、この子宮頚部をスパーテル(木へら)などの器具でこすることにより細胞を採取し、ガラスの上に塗布します。これをアルコール液に漬けて細胞を固定したあと、染色をします。染色後、顕微鏡で細胞を観察し、異常な細胞がないか、癌細胞が見られないかなどを診断するわけです。

この頚癌の細胞診は痛みは全くなく、数秒で終わります。

一方、最近日本でも増加傾向のある子宮体癌の細胞診はちょっと痛みを伴うことがあります。子宮の中に細いブラシなどの器具を挿入し、細胞を採取します。そのあとの染色などは頚癌の細胞診と同様です。

子宮頚癌検診の新しい結果報告について

最近、子宮頚癌の細胞診の結果報告の様式が変わりました。アメリカを中心に採用されているベセスダシステムに変わったのですが、従来のに比べ、一般の方には分かりずらいものになったのかもしれません。今までの結果はI型からV型までの数字で表しましたが、これからはこのような数字ではなく、細胞診で推定される病変そのものを記載することになりました(2013年から)。例えば、上皮内癌が疑われる場合は、その結果はIV型ではなく、推定病変は上皮内癌、などと病名を書くことになりました。施設によってはまだ従来の数字で結果が出る所もあるかもしれませんが、新しい結果報告を採用している所でもしばらくは従来の報告と併用して報告されると思います。
強調したいことは、細胞診の結果はあくまでも推定であり、実際の病態とは異なることがあるということです。細胞診の結果で推定病変は高度異形成という結果が出たとしても、実際は軽度異形成かもしれませんし、上皮内癌かもしれないということです。細胞診で異常が見つかった時はコルポスコープという拡大鏡で子宮の頚部を観察し、異常の部分があれば組織を採取します。その組織の結果が最終診断となります。当院では、このコルポスコープでの精密検査も行っておりますので、他院で精密検査が必要な結果が出た時も検査を受け付けております。

下記に新しい細胞診の判定の結果である推定病変とその用語の説明および従来の型について記載します。

=子宮頚部細胞診判定 ・・(ベセスダシステム2001準拠)=

*推定病変・・・・・  用語説明  <従来の型

a.陰性・・ ・微生物  ・その他の非腫瘍性所見 <I, II型

b.扁平上皮系異常

・1.軽度扁平上皮内病変の疑い・・判定困難 な異型扁平上皮細胞  <II, IIR, IIIa型

2.高度扁平上皮内病変の疑い・・高度扁平上皮内病変を除外できない異型扁平上皮細胞 <IIIa, IIIb

3.HPV感染・・軽度扁平上皮内病変<IIR , IIIa

4.軽度異形成・・ 軽度扁平上皮内病変<IIIa

5.中等度異形成・・高度扁平上皮内病変<IIIa

6.高度異形成・・ 高度扁平上皮内病変<IIIb>

7.上皮内癌・・ 高度扁平上皮内病変<IV

8.扁平上皮癌・・扁平上皮癌<V

c.腺系異常

・9.腺異型または腺癌疑い・・異型腺細胞<III

・10.上皮内腺癌・・上皮内腺癌<IV

・11.腺癌・・腺癌<V

・12.その他の悪性腫瘍・・その他の悪性腫瘍<V

上記結果の次の対応は・・

・上記推定病変1の時・・①HPV検査が望ましい または ②6か月以内に細胞診再検

2,3,4,5,6,7,8の時・・精密検査(コルポスコピーによる観察および生検)を行う

・9,10,11の時・・コルポスコピー、生検、頚管および内膜細胞診または組織診を行う

異常がない場合には、”陰性” という結果になります。
異常がある場合には、”軽度異形成“などの推定病変名で結果が出ますが、上記に書きましたようにあくまでも推定です。
子宮頚部扁平上皮癌の発生の段階は下記のように進みます。
軽度異形成→中等度異形成→高度異形成→上皮内癌→微小浸潤癌→浸潤癌
コルポスコピーとは、子宮頚部をコルポスコープという拡大鏡で拡大して観察し、病気の部分を確認する検査法。このコルポスコープで見ながら異常部の組織を採取します。精密検査の時に行います。
生検とは、子宮頸部の場合、コルポスコープの検査のもと、組織を一部採取し病理検査を行うことです。

子宮体部の細胞診の結果は従来通り、
I、II型は正常、III型は増殖症または癌の疑い、IV、V型は癌です。

正常細胞 上皮内癌 癌細胞
正常細胞 上皮内癌 癌細胞