肥満とやせ

近年、我が国の食生活も欧米化し、脂肪を中心とした高カロリー食を多くとるようになり、女性にも肥満傾向がみられるようになってきました。一方、美容上から極端な食事制限を行い、その結果、やせすぎの女性が増加しているのも事実です。この肥満もやせも女性の性機能に影響を与えております。

1.肥満

肥満には原因が不明な単純性肥満と病気による症候性肥満があります。約90%は単純性肥満とされており、これは消費エネルギーに比較し、摂取するエネルギーが過剰であることにより生じます。
我が国では肥満の人の63%に無月経、稀発月経、過少月経が認められると報告されています。この月経異常はホルモンの分泌異常によるもので、肥満者に見られる過剰な脂肪はホルモン代謝に大きく関与しています。すなわち、脂肪組織では男性ホルモン、女性ホルモンが産生され、卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスに影響を与えているからです。その結果、子宮内膜にも影響を与え、無月経などの月経異常を引き起こしていると考えられています。当然、排卵にも影響を与え不妊症の原因にもなります。
この女性ホルモンは子宮内膜を増殖させる作用があるため、これが少量であっても長期間持続的に子宮内膜に作用することにより、内膜に増殖性変化を与え、その結果子宮体癌を誘発することも明らかにされています。子宮体癌患者に肥満の人が多い理由の一つとして、肥満から来る女性ホルモン異常があげられています。

2.やせ

やせは食事摂取量よりエネルギー消費量が多い場合におこり、これも肥満と同様単純性やせと症候性やせに分類されます。10代の女性では過度のスポーツ、美容目的の減食、受験・過労による摂取量減少から生じる単純性やせのことが多いとされています。このやせの場合、体重減少性無月経をきたしやすくなります。一方、成熟期以降の女性のやせは大部分が症候性であり、精神的、心因的因子による食欲異常や消化器疾患、ホルモン異常などが原因です。
最近、激しいスポーツを行う女性に月経異常が多いことが注目されています。体脂肪率が低いほど(やせているほど)月経異常率が高く(表参照)、陸上選手では1週間の走行距離が増加するほど無月経である者が多くなることが報告されていますし、新体操選手でも運動量に比較し、摂取カロリーが非常に少なく、月経異常を認める選手が多いことが報告されています。
また、これらスポーツ選手には疲労骨折が明らかに多いことが示されています。すなわち、無月経の原因となる女性ホルモンの分泌減少は、骨にも影響を及ぼし骨塩量が減少することにより、骨折が多くなるのです。これは最近注目されている骨粗鬆症が閉経後の女性ホルモンの減少によることと同様の機序によるものです。
以上のように肥満も極端なやせも女性ホルモンの分泌に異常をもたらし、妊娠や月経などに様々な影響を与えますのでご注意下さい。