東洋医学と不妊

・針(良導絡・りょうどうらく)

女性には冷えの方が多く、この冷えが女性の病気を引き起こす原因となっていることがあります。また自分では冷えを自覚していない方もいらっしゃいます。
冷えは末梢血管の収縮が原因ですが、この血管の収縮が子宮や卵巣の血流の低下をもたらし、血液循環が悪くなり、体内で鬱帯、鬱血を起こします。子宮や卵巣へ新鮮な酸素や栄養が運ばれず、機能の低下をもたらします。排卵時に子宮内膜が厚くならないことや卵巣機能不全、排卵障害、また排卵誘発剤の効果の低下の原因となります。
当院では、従来の西洋医学的な治療の他に、東洋医学である、漢方や針治療を行ってきましたが、2007年よりさらに積極的にこれらを取り入れることに致しました。
アメリカを含め、世界各国で針による不妊治療が行われ、論文発表も多数あり、針治療の効果は世界では認知されつつあります。しかし、古くから東洋医学を行って来た日本では、針の不妊治療への応用は鍼灸師からの報告以外に、医師からの発表は残念ながらありません。これは針治療を行える医師、特に産婦人科の医師がほとんどいないことと、針治療について医学部で学生時代に習ったことがないこと、針治療を自ら経験した事がない医師が多いためその効果を理解できないこと、などによります。
当院で行っている良導絡治療は、京都大学生理学教室で研究、確立した手技で、東京オリンピックなどの選手の治療にも使用されて高い効果が認められたことから発展し、日本良導絡学会にまで成長した手技です。当院では院長が針治療を行いますが、大学病院勤務時代を含め、30年以上のはり治療経験を有しています。
従来の伝統的な針治療よりさらに効果の高い針治療を、不妊で通院されている患者様に提供したいと考えていますが、不妊症の原因により、針をやっても意味がないこともあります。まず、不妊症の原因を確認したうえで、針治療を受けなければなりません。下記の方は針治療の適応になります。

良導絡の適応となる方・・
・明らかな不妊原因がないが妊娠しない方
・子宮内膜が排卵時にも厚くならない方
・排卵が起きにくい方
・排卵があっても、黄体機能がよくない方  など
すべての例で改善が得られる訳ではありませんが、現在の西洋医学的不妊治療では有効な方法がない時の手段として試みるべき方法と思います。



不妊治療の効果「針で」大幅改善  (2006年11月10日  読売新聞より)

体外受精を5回以上行っても妊娠できなかった不妊症の女性114人に針治療を行ったところ、約4割にあたる49人が妊娠に至ったと、名古屋市の明生鍼灸(しんきゅう)院と明治鍼灸大の研究グループが10日、大阪市内で開かれている日本生殖医学会で報告した。

49人のうち4人は自然妊娠だったほか、30人は治療後1回目の体外受精で妊娠に成功したという。

不妊治療の専門家が集まる学会で、針治療による効果を示すデータが発表されるのは珍しい。

報告された114人の治療実績は、1998年2月〜2006年6月に、同鍼灸院を訪ねた不妊患者のうち体外受精を5回以上行っても妊娠しなかった女性のもので、治療は、週1〜2回のペースで行われ、腹部や足などにある婦人科疾患に効果があるとされるツボを針で刺激した。

<はり治療が不妊治療に有効であることを示す各国の論文>

*胚移植日にはり治療を行うと体外受精、顕微授精の妊娠率を上昇させる。
Fertility & Sterility(アメリカ生殖医学学会誌)2006年   デンマークからの発表
273例を研究対象とし、はりを行わない群では22%の妊娠、はり治療群では36%の妊娠率であり、はり治療群に有意に妊娠率が高かった。

*体外受精例と顕微授精例の黄体期にはり治療を行うと妊娠率が有意に高かった。
Fertility & Sterility(アメリカ生殖医学学会誌)2006年   ドイツからの発表
225例を対象とした。針を行わなかった群では13.8%、行った群では28.4%の妊娠率で、はり治療群に妊娠率が高かった。

*体外受精例に針治療を3回行い、はり治療群に妊娠率が高かった。
Fertility & Sterility(アメリカ生殖医学学会誌)2006年  オーストラリアからの発表
228例を対象に、HMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後に針を行った。行わない群では23%、はり治療群では31%の妊娠率であり、有意差はなかったが、はり治療群に妊娠率は高かった。

*体外受精と併用されたはり治療は妊娠率を向上させる
British Medical Journal  2008年  アメリカからの発表(メリーランド大学、ジョージタウン大学産婦人科)
過去の7件の臨床試験のデータをまとめた。はり療法を併用した胚移植は、はり治療を受けた群の臨床的妊娠は1.65倍高く、継続中の妊娠は 1.87倍、生児分娩率は1.91高く、はり治療は妊娠率の高さと関連していた。

・漢方薬による不妊治療


漢方薬が不妊に効果があることはすでに多数報告されています。当院では日本東洋医学会漢方専門医である院長が不妊の状態に適した漢方処方いたします。

このページの先頭へ